美味い日本酒が飲みたい、そう思ったら三軒茶屋の「赤鬼」に行くといい。
ここは大好きだけどなかなか飲めない、大好きだけど普段は指一本触れることすら叶わない、十四代が飲める店なのだ。
十四代というのは山形県の名酒で、入手困難なことで知られている。
ここ赤鬼では十四代のPB商品もあるくらい、十四代については常備しているし種類も豊富だ。
もちろん他にも多数の日本酒が置いてあり、毎回自分好みの酒があるので好きな店なのだ。
10年以上前に、僕の誕生日に妻におごってもらって好きになった店でもある。
(どうでもいいか・・)
以前来た時には芸能人の方を見かけた。知る人ぞ知る有名店だ。
満席でなかなか座れないことも多いが、中を覗き込むとカウンター席が一人分だけ運よく空いていた。
すかさず暖簾をくぐり入店。
店内には外国のお客さんもおり、海外の方にも人気なのだなと感じた。
カウンター席に座り、まずは酒のメニューにざっと目を通す。
日本酒に博識なわけではないが、飲んだことのある好きな銘柄があると親近感を覚える。
地酒の好き好きは相性もあるので、好きな日本酒が置いてある店は、自分にセンスが合うなと感じる。
酒の肴も日本酒に合うような珍味から、魚介系の焼き物、刺身などが豊富だ。
選択肢は日本酒しかない。
しかし、珍味にはそそられるものばかりだ。
味のあるカウンターにお通し(500円)が置かれる。
お通しは厚揚げの煮物と笹かま(?)。
日本酒を味わうには、こういうシンプルな肴がいい。
ここに来たら、迷わず十四代。
十四代 本丸 秘伝玉返し(650円)を注文。
十四代を600円台で飲めるのは安い。
(いや、他の店の値段が高いのか・・)
ぐい飲みに一升瓶からなみなみと注いでもらう。
升にこぼれてゆく日本酒にうっとりする。
ひと口飲むと、甘みと口に広がるフルーティーな香り。
いや、フルーティーというのか、お米の爽やかな香りというだろうか。
やはり十四代は美味い。
入手困難なお酒にひとつ言えるのは飲みやすさ。
芋焼酎の森伊蔵などもそうなのだが、誰にでもすっと入ってくる飲みやすさが人気の秘訣なのだと思う。
日本酒の味や香りは、日本酒好きには好まれるが、日本酒が苦手な方には少し気になる。
そういう日本酒を苦手とされる要素をすべてそぎ落としたのが十四代、そう僕は思っている。
つまみは冷ややっこ(300円)を注文。
2軒ほどはしご酒をしてきたので、ちょっと控えめに。
ぷるぷるとした弾力のある豆腐で、いつも買うスーパーの豆腐とは比較できない美味しさ。
これは日本酒を引き立てる。
珍味のホヤの塩辛(450円)も注文。
冷酒にはこういう少しクセのある珍味が合うんだ。
口に残る磯臭さをすっと日本酒のフルーティーな香りで洗い流す快感と言ったらない。
このホヤのちょっとがいい。
十四代を飲み干し、背後の壁に目を配ると、岐阜の名酒「小左衛門」の文字が。
小左衛門は最初に飲んだ時に、本当に感動した酒だ。
こんな香りの日本酒があったのかと。
もちろん、小左衛門 信濃美山錦(750円)を注文。
最初に飲んだのは山田錦だったと思うが、今回は美山錦。
これも新しいぐい飲みに注いでもらう。
日本酒ファンが写真に収めることを想定して、しばらく瓶を置いておいてくれるのもうれしい。
ここは日本酒好きの聖地なのだ。
小左衛門もまたフルーティーだが、十四代と比べるとりんごのような、よりジューシーなフルーティーさを感じる。
フルーティーで飲みやすい日本酒が好きな人にはこちらもおすすめ。
本当の飲み口が良く、すいすい飲めるので、ある意味危険なお酒ではある。
酒は美味いが、冷ややっこのボリュームが思った以上にあって腹いっぱいになってきた。
のれんをくぐって帰って行く客もちらほらとあり、人気であることがうかがえる。
残りの酒を飲み干し、チェイサーの水を飲む。
つねにチェイサーを飲むことが、泥酔や二日酔いの防止の秘訣だ。
と思うのだが、水を飲むなら酒を飲む、になってしまう。
酒はきれいに楽しみたい、この店に来て水を前にそう思った。
酒2杯、つまみ2品で会計2,650円。
この店は動画の撮影とか何も考えずに、純粋に酒と料理を楽しみに来たい。
そう思った。
2019年7月訪問
赤鬼
東京都世田谷区三軒茶屋2-15-3
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131706/13001382/
<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/Hg5WnjkDFiw