中目黒で打ち合わせの帰り道、桜の見物客でにぎわう目黒川沿いをゆっくりと歩く。
昨晩の晩酌で二日酔い、午前中は昼ごはんのことを考えられる状況ではなかったが、昼過ぎに打ち合わせを終えると、胃腸は軽くなっていた。
中目黒川沿いは、昨年までの自粛の空気とは異なり、例年通りの賑わいを見せている。
若いカップルや女性、外国人客が思い思いに桜をバックに写真を撮っている姿が目に入る。
そんな光景を眺めながら、池尻大橋方面に歩を進めると、細い路地の裏の裏のほうに赤い看板。
美味しいと教えてもらった「鶏舎(チイシャ)」があった。
昼時はいつも並んでいるそうだが、14時過ぎに来たら待っている先客は2名。
待っている間にメニューを渡され、店員さんによく出ているメニューを聞く。
初めてなので、何を目当てに客が来ているのかよく分からない場合は聞いた方がいい。
おすすめと聞くと、店によっては「人それぞれ好みがあるので」とか「何かの調査ですか」なんて塩対応された経験があるので、最近は「人気のメニュー」と聞くようにしている。
よく出ているのは、餡かけが乗った肉細切りソバ、五目ウマニかけ飯などとのこと。
餡かけ系が人気なのは分かったが、汁ありのラーメンか、かた焼きそばか、ごはんか迷う。
二日酔い明けなので、汁物にしておくか。
店内に入ると満席で、カウンターのひとつ空いた席に通される。
それほど広い店内ではないので、もちろん美味しいのもあるんだろうけど、行列ができやすいのかな、なんて思った。
昼からテーブル席でビールを飲んでいる人もいる。
二日酔い明けのせいか、さほどうらやましくはない。
カウンターからは、厨房で鍋をふるう姿が至近距離でよく見える。
店の中で音楽は流れておらず、鍋の音と店員さんの声がBGMだ。
席について3分くらいで、肉細きりそば(1,000円)をカウンター越しに受け取る。
待ってる間に注文しておいたからか、席に着いたと同時にテンポよく出てくるのがいい。
これは美味しそう。
丼には細切りの肉と野菜が表面を覆う。
豚肉、白菜、玉ネギ、青菜、タケノコが入っているように思われる。
麺は細めの中華麺。
町中華で出てくるような麺だ。
まずはスープをすする。
あっさりとした醤油スープ、町中華の味だ。
こういうのが二日酔い明けにはちょうどいい。
かかっている餡の具を食べてみる。
シャキシャキとした玉ネギと豚肉の食感がいい感じ。
餡にも少し濃い目の味がついており、たしかにこれをご飯や揚げそばにかけたら旨かろう。
少しあっさりしているスープに、徐々に中華餡の味が溶け込み、ちょうどよい濃さになってゆく。
五目そばの中華餡はそれほど味が濃くない場合も多いが、こちらの安はしっかりとした味付けだ。
この細切り野菜のシャキシャキ感が何とも言えない。
普通の野菜のざく切りより、シャクシャクして口に入れるにも麺のようで気持ちがいい。
これは他店では食べたことのない感覚だ。
スープをすすり麺を食べる。
このスープで疲れていた胃腸が活気づいてくるのが分かる。
ほそ切りの野菜と肉は食べやすいが、満足感もあり人気のメニューなのもうなずける。
隣の客は、餡かけをごはんにかけた物、その隣は海老チャーハン、斜め向かいはニラレバ定食。
割と周りと見回すと、まちまちに中華を楽しんでいるように見えた。
中華餡は人気だけど、町の中華食堂として人気の店なのだなと思った。
食べ終わるころには、二日酔いであったことはなかったかのように、満腹感と満足感だけが残った。
ひっきりなしに客は入ってくるようで、僕が出る頃にも待ち客はいた。
後でネットで調べたら、夏季限定の鶏そばが人気のようで、また機会があったら来てみたい。
会社への帰り道、池尻大橋へ向かって行く途中も、桜を見る人であふれていた。
平日の昼間って、意外とこうして桜を見る人が多いものなんだなと思った。
2023年03月訪問
鶏舎(チイシャ)
東京都目黒区青葉台3-9-9
https://tabelog.com/tokyo/A1317/A131705/13007279/