町田で昼から飲み歩き、前から気になっていたパイナップルラーメンの店「パパパパパイン」へ。
ラーメンにパイナップルの組み合わせが想像付かず、口に合わせなかったらどうしようと、リスク回避の気持ちが働き、今まで一歩を踏み出せなかった。
僕は臆病者だし、リスクを取って行動できるタイプではない。
散々パチンコというリストを追ってギャンブル三昧だったわりに、こういうどうでもよいところで安全な道を取るタイプなのだ。例えば、散々迷っていつもの吉野家に行ったり、いつでも安全圏を渡ってきた。
軽く酒を飲んで、ストッパーが外れた僕は、その店の前にいた。
店先の椅子から何から全面的に黄色いパイナップルを押してくる。
店名もさることながら、ぱっと見ラーメン屋であることすら放棄しているような店構えだ。
意を決して入店。
パイナップルであることには変わりないが、塩と醤油があるようだ。
券売機の前で想像力を働かせる。
パイナップルに合う味付けは塩と醤油どっちだ。
醤油は少し果実と合わせた場合、クセが出そうな気がする。
ならば塩だろう。
パイナップル塩ラーメン(770円)の食券を購入。
※値段は2020年10月
店内のいたるところに、パイナップルの置物やモチーフとなる物が置かれている。
どこを見ても何かがパイナップルなのだ。
雰囲気作りが徹底している。
ラーメンが出来上がるのを待つ間、パイナップルビールなるものを飲んでみるべきだったか迷う。
そんなことを考えているとパイナップル塩ラーメンが提供される。
ほうれん草、唐辛子、海苔、チャーシュー、パイナップルの一片が乗っている。
なるほど、パイナップル塩ラーメンだ。
全体的にネギと胡椒がちりばめられており、見た目がそそられる。
これだけを見ると、パイナップルの片鱗を見なければ、ただただ美味しそうな塩ラーメンだ。
まずはスープをひと口。
最初に印象はピリッとコショウが効いた美味しい塩ラーメンの味。
後からたしかにパイナップルの香りと甘みがほんのりと追いかけてくる。
一言でいうと、甘じょっぱいスープ。
これはこれでありだ。美味い。
ストレート細麺をすする。
気持ちよく唇を滑り口中に入ってくる。こういう細麺が飲んだ後にはさっぱりと食べやすい。
食べ進めていると、パイナップルの旨味というよりは、ただただ美味しい塩ラーメンだ。
パイナップルの主張はそれほど強くなく、ピリッとしたコショウと唐辛子の辛みのアクセント。
ネギもふんだんに使われており、自分好みの塩ラーメンだ。
パイナップルのほんのりとした甘みがある分、辛みのアクセントでバランスが保っているのだ。
そうかそうか、と自分の頭の中で納得する。
実際に食べながら、首が動いて頷いていたかもしれない。
ラーメンにパイナップルってわざわざ入れる必要もないのに、それをこんなに美味しく作ってしまう。
失礼かもしれないが、この店の方の頑張りの方向性に、笑みすらこぼれてしまう。
酔いも手伝って頭が少し弱くなっていたかもしれない。
ラーメンにパイナップルって、こんな色んなパイナップルのグッズ並べちゃってさ。
あはははははは、なんてラーメン食べているはずなのに酔いが加速するようなトリップ体験を感じてしまう。
南国の果実は、どうやら精神を解放する効用もあるようだ。
もっとたくさん入っているかと思っていた、パイナップルの一片を摘まんで口に入れる。
これは正直あってもなくても良かったかな。
パイナップルの食感の居場所が、この丼の中にはなさそうな気がした。
かと言って邪魔というわけでもない。
スープと馴染みすぎていて、酢豚に入っているパイナップルより、良い意味でインパクトがない。
パイナップルラーメンとして、すべてが一体化されている。
チャーシューは脂が多めで柔らかい。
これも普通に美味い。
さっぱりとした塩のスープをまとったチャーシューは、しっかりと脂が付いているもののしつこく感じない。
むしろ脂身の甘みが塩スープで引き立っていると言っていい。
これは美味い。
このラーメンの意外性もさることながら、この甘じょっぱいような味に中毒性がある。
おや?あれ?なんて感じながら、どんどんどんどん箸が進んでしまうのだ。
パパパパパイン、パが何回なのか、パパパパパパパと何度も頭の中で反芻しておかしくなってゆく。
パが5回だ。
店名すらも何かこう、思考を奪っていくような気がしてくる。
勇気を出して怖い物見たさで入ったはずが、スープを飲み干し満足していた。
また来たい、というよりは、家族を連れてきて食べさせてみたい、教えたい。
そんなラーメンだった。
ごちそうさまでした。
2020年10月訪問
パパパパパイン
東京都町田市原町田3-1-4 町田ターミナルプラザ 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1327/A132701/13216798/
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