武蔵小杉というと、タワーマンションの街というイメージが定着してしまった。
定着というと語弊があるかもしれないが、僕の中ではキーワードとして「タワマン」の街と化している。
しかし、再開発前の武蔵小杉で飲んでいた僕にとってみると、キーワード「タワマン」だが、薄暗い飲み屋街のイメージは根強く残っている。
そんな武蔵小杉の昔の姿をとどめているのがセンターロード小杉。
少し変わってきてはいるが、陽の当らない飲兵衛が集う一角だ。
再開発された駅前が陽であれば、こちらは陰。
陰があるから陽が映える。
新しくタワマンに引っ越してきた人たちはここに来るのかな。
子どもには「あっちは通っちゃだめよ!」なんて言ってる母親もいるんだろうな。
そんなことを考える。
たしかにここは子どもは通らん方がいい。
あまり目に入れなくて良い大人もおるし。
目当てはここ「炭火焼鳥くろちゃん」
たまに武蔵小杉に来ると、けっこう早くからやってる居酒屋があるな、と認識はしていた。
しかし若かりし頃、デートで来たりしていたので、こういう店には入らなかったのだ。
年を取り、若かりし頃の願望をかなえる。
若さと引き換えに手に入れた権利だ。
入店しカウンター席に着くと最初に「お食事ですか?飲みですか?」と聞かれる。
もちろん後者だ。
周りを見回しても、食事をしている人の姿はなさそうだ。
店の作りが昔の居酒屋そのもので、居酒屋独特の魚介類や焼き物が入り混じった匂いがいい。
メニューは刺身、焼き物、串焼き、炒め物、一品料理となんでもござれ。
酒の種類はそんなに多くはないが、つまみが色々選べた方が楽しい。
揚げ物や煮物もなかなか良い感じだ。
これだけあると、どれが最適解なのか分からなくなってくる。
こちらが定食メニュー。
こういう店は、定食の味噌汁がすごく旨かったりするんだよな。
酒はレモンサワー(350円)を注文。
ひと口飲んだらハイサワー。
昔から変わらずハイサワーなんだろうな。
しめさば(400円)を注文。
ほどよく酢で〆てあり、手作り感のある味だ。こういうの大好き。
しめさばって、スーパーで買ったものは美味しいんだけど、少し酢の味に角がある。
それが自家製だと、柔らかい味がするのだ。
このしめさばはまさに後者。
しばらくすると、厚揚げ納豆(450円)がくる。
けっこうなボリュームだ。
薬味のネギと海苔、皿の横についている練り辛子がいい。
軽く醤油をふりかけ、納豆に辛子を少しずつ絡ませる。
ひと口食べると、熱々の厚揚げが柔らかくて美味い。
そこに醤油、辛子、納豆がよく合う。
最近の納豆は甘いたれが付いており、その味に慣れているので、醤油をかける納豆の味が新鮮だ。
昔はみんな醤油に辛子だったからな。
店の雰囲気も相まって、どこかノスタルジックな気分になり、ここでぼーっとしていたいと思う。
武蔵小杉といえば、再開発前は職場の飲み会の二次会で流れてきて飲んだ記憶がある。
たしか、スナックかキャバクラだったと思うが、一人当たりけっこうな金額を取られて、釈然としない気分になったのを覚えている。
ちょっとしたキャバクラとか多い街だな、というのが昔の印象だ。
今もその名残はあるけど、なんというか少し陰りを感じさせる街ではある、と昔から思っていた。
左右に建物のある路地が多いからだろうか。
再開発しても、未だにぱっと開けた明るい街に見えないのは僕だけだろうか。
便利だし飲める街ではあるのだが、僕の中では何かこう晴れない感じのする街ではある。
南武線の改札周りの雰囲気なのかな。
酒2杯、つまみ2品で会計1,670円。
しかし、良き酒場のある街であることには変わりない。
まだ開発は進んでいるようだけど、このあたりはそのままにしておいて欲しいなと思う。
2019年9月訪問
炭火焼鳥 くろちゃん
神奈川県川崎市中原区小杉町3-430-1 千里ビル 1F
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14012786/
<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/tl34vfAbDRc