梅雨の雨が降る中、溝の口駅を降りた僕は南部沿線道路をとぼとぼと歩き、登戸方面へ歩く。
徒歩4分くらい歩くと、やきとりと書いてある赤ちょうちんが見える。
瓦屋根の蔵のようなデザインの店構え「鳥弥三」。
この店は溝の口駅からは少し離れているが、溝の口界隈で飲んでいる人には、安くて美味いと人気の店だ。
蒸し暑い梅雨の時期の焼鳥とビールはたまらない。
雨の中ちょっと歩いてでも、美味い焼鳥にありつきたい、とこちらへやってきた。
入口から中の様子を覗き見ると、カウンター席は空席が目立つ。
えいやっ!と店の引戸を開けて中に入る。
若い店員さんに案内されて、店の奥のカウンター席へ腰を下ろす。
店内は広く座敷もあるようで、座敷の方から子どもも混ざった楽し気な声が聞こえてくる。
カウンター席は自分一人、飲みやすくていい。
店内は炭火の煙でくすんだであろう柱と壁。なかなかに味のある雰囲気。
レトロなポスターなどもあり、独特な雰囲気を醸し出している。
ここで食べる焼鳥はさぞかし美味かろう、雰囲気だけで早くも期待が持てる。
焼鳥が焼ける香りにこの雰囲気、ここに身を置くだけで満足感がある。
ファイリングされている卓上のメニューにまずは目を通す。
最初に一杯はとりあえず生ビールにするか。
串焼きと一品料理のメニューも豊富だ。
写真が付いているのがうれしい。
チェーン店ではないので、この写真が盛られていることはまずないだろう。
〆のメニューはおそらく食べないが、一応目を通す。
焼鳥丼やラーメン、カレーなどバリエーションも多く、値段も店を移動して〆るよりはお手ごろな価格帯だ。
ソフトクリームのメニューも充実しており、子供の声が聞こえてくるのもうなずける。
家族で利用する客も多いのだろう。
生ビール(500円)を注文。お通し(260円)は枝豆。
ビールに枝豆、じめじめとした初夏の季節はやっぱりこれだ。
ひと口飲むと、仕事で凝り固まっていた脳がやんわりとほぐされるように感じる。
仕事の後のビールは味というより、じーんと胃から流れてくる解放感がいい。
漬物盛り合わせ(240円)も注文。
ちょっとした漬物が240円なのは良心的な値段だ。
味は家庭的でなかなか美味い。自家製なのかな?
串焼きは時間がかかる場合があるので、つなぎになるよう何かちょっとしたつまみを頼むようにしている。
煮込みなどを頼むと、満たされてしまうので、漬物で自分を焦らす。
飲みながら待つこと10分程度。
焼鳥お好み盛り合わせ(650円)の「み(鶏もも)」が出来上がった。
お好み盛り合わせは、焼鳥と野菜串から好きなものを5本選べるのだ。
一本一本別の皿で出てくるようで、こういう店は決まって美味い。
熱々の鶏ももはジューシーで少し炭の香りがする。
シンプルだが美味い!添え付けのレモンの気配りがまたうれしい。
続いてささみ。
熱々のささみにさっぱりとした梅ペーストがよく合う。
仕事の後の疲れた体に梅の酸味がいい。
続いて手羽先。どんどんくる。
5本ともすべて別の皿でくるようだ。
きも(レバー)も焼きあがる。これはたれで。
一串ずつ、ちゃんと味付けも聞いてくれるのも良い感じだ。
今回はお任せにしなかったけど、お任せでも良いかもしれない。
気が付くと一人飲みなのに、カウンターの上はかなり豪勢な感じになった。
一杯並べて飲みたい人にはうれしいね。
美味い焼鳥は熱いうちに食べなければ。
カウンターいっぱいに並んだ焼鳥を見てエンジンがかかる。
生ビールを飲み干し、気になっていた富乃宝山ハイボール(470円)を追加。
だいやめのハイボールが美味いので、富乃宝山のハイボールも当然うまいはず。
ひと口飲むと、芋焼酎とは思えない、ライチのような華やかな香りが鼻を抜ける。
やっぱり美味い。
富乃宝山は、芋焼酎は芋臭いという概念を覆した最初に焼酎かもしれない。
僕はこの焼酎に出会って芋焼酎に興味を持つようになった。
焼鳥に焼酎ハイボールも合う。
これはもう何を食べても飲んでも美味い状態だ。
焼鳥を1本ずつ頼める店というのは、一人飲みにとってはうれしい存在だ。
今回は盛り合わせを頼んだけど、焼鳥を2種類1本ずつ、あとは煮込みやおすすめ料理1品で飲む。
僕にとってはこれが理想的な注文の仕方。
だから串焼き1本ずつ頼める店というのはそれだけで、親切なお店だ、くらいに感じてしまうのだ。
富乃宝山ハイボールを飲み干し、角ハイボール(450円)を追加。
焼鳥のサイズ感が酒を飲みながら食べるのにちょうどいい。
でかければ良いというものでもなく、飲みながらつまむのにちょうど良いサイズというものがある。
最後の方まで取っておいた手羽先は、皮がパリッとして中はジューシー。
そのままひと口、レモンを絞ってひと口、カットレモンひとつで楽しみが2倍に増える。
この美味しさで1本130円程度は安いぞ。
手羽先を手でつかみ、無心で食べていると、カウンター席が埋まり始めてきた。
駅からは少し離れているので、帰宅途中にちょっと一杯で寄る人も多いのかな。
そんなことを考えながら、ハイボールを飲み干し、ごちそうさまでした。
お通し、漬物盛り合わせ、焼鳥盛り合わせ、酒3杯で会計2,827円。
これだけ飲み食いしてこの会計は安いと感じた。
たまにはこういう焼鳥屋に家族で来てみたいものだ。
奥の座敷から聞こえる楽しそうな声に、そんなことを思った。
2020年7月訪問
鳥弥三
神奈川県川崎市高津区下作延1-4-5 琳和タウンコート
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140505/14005937/
<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/wHrWNkDLfwU