冷たい風が頬を指すようになった12月、僕はまた町田で飲み歩いていた。
年の暮れで仕事を早めに終わったので、ちょっと早めに町田で独り忘年会だ。
毎年12月初旬くらいには会社の忘年会があったのだが、それもここ数年はなくなった。
忘年会を生き甲斐にしているような人もいると思うが、若い人は仲間内で飲んだ方が楽しいだろう。
僕も一人で飲めればそれでいい。
年を重ねるごとに、人付き合いが面倒になってきた。
それはいいとして、1軒軽く飲んで2軒目は前から気になっていた「大衆酒場金星」へ。
昼過ぎくらいから営業しているな、とは思っていたけど、入ったことのない店だ。
店内はコの字のカウンターに、奥のほうにテーブル席がいくつかある。
すでに一杯やっている年配の方がちらほら。
店内の棚にはキンミヤの一升瓶が並ぶ。
ボトルを入れている人が多いのは人気店の証だ。
吉田類の酒場放浪記でも紹介されていたのか?
それとも、この店からのお祝いなのか、よく分からないが目を引いた。
季節の一品料理っていうのがいい。
酒を飲むことの良いところは、季節を感じながら飲めるところだと思う。
若い頃はただ酔うためだけだったが、歳を重ねて飲みすすめると、季節を感じることの喜びを感じるようになった。
残りの時間が少ないから、1年1年の季節を深く感じられるようになったのか。。
通常のメニューを見ると、メニューの数は多くないものの、刺身、揚げ物、焼き物とちょうどいい感じのメニューが並ぶ。
刺身も「本日の」と付くだけで、鮮度が良いのだろう、と少しうれしくなる。
まずはコーラの冷蔵庫に入っていた瓶ビール赤星(590円)を注文。
大き目のグラスにどぼどぼと注いで飲むビールも美味い。
やはり赤星好きだな。
寒いのでおでん3種盛り(400円)を注文。
よく色が漬かった大根に卵、きんちゃく。
おでんはこのちょっとがいい。
まずは大根に箸を通しひとくち。
見た目通りよく味が沁みていて美味い。酒を飲んできた後の胃に沁みる。
きんちゃくを持ち上げてみると、中からは溶けるように柔らかな餅が飛び出す。
僕は鍋物に餅を入れるのは反対派なのだが、このとろける餅には心が躍る。
したたり落ちる餅は熱々で美味い。
つゆがあっさりした味付けで、素材の味が活かされるように感じる。
家で作る市販の濃い味のおでんより、やはりこちらの方が食べやすい。
寒い季節のおでんは美味いなあ。
本日の刺身で一番心惹かれた、ウスバハギ(490円)も注文。
僕はカワハギ系の淡泊な魚の刺身が大好き。肝と一緒に食べるというのが何より良いではないか。
黒いさらに透き通るような白身がきれい。
しかも490円ってかなり安いぞ。
皮と肝、わさび醤油でいただく。
濃厚な肝の旨味に白身の刺身が最高に美味い。
ハギの肝はアンコウやタラの肝よりも、さらに濃厚で淡泊な白身とセットで食べて、初めてその旨味は活きてくるように感じる。
せっかくなので、おでん割り(290円)を飲もう。
おでん割りと言えば、ワンカップにおでんつゆを入れて飲むものだが、こちらはキンミヤ焼酎だ。
あっさりとしたおでんのつゆが美味い。
酒を飲んでいるといううより、〆にスープを飲んでいるような不思議な感覚の飲み物だ。
飲めば確かにアルコールを感じるのだが、酒を飲んでいるという感覚とも少し違う。
酒を飲みに来て、これを真っ先に飲みたいかといえばそうでもない。
あくまでもイベント酒のように感じる。
しかし熱いおでん割りに、刺身がよく合う。
しゃぶしゃぶしているような感覚なのかもしれない。
ウスバハギの刺身は十分に堪能できる量もあり満足だ。
おでん割りを飲み干し、ごちそうさまでした。
会計は1,950円。
美味い刺身とおでんを堪能して大満足だ。
こちらは昼くらいから営業しているのを見かけていたが、なぜ今まで入らなかったんだ、と悔やまれるレベル。
また町田で良い店を見つけてしまった。
2020年12月訪問
大衆酒場 金星
東京都町田市原町田6-14-7 重南ビル 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1327/A132701/13206401/
<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/12vgNS6Hs2M