川崎で何軒かハシゴ酒をして「グレートジャーマンクック」へ。
前から存在は気になったいたけど、喫茶店なのかと思いスルーしていた。
看板のデザインからカレーとか美味しそうだな、なんて勝手にイメージしていたお店だ。
川崎に来るのは、休日の昼であることが多いので、夜の川崎には発見がある。
夜の街で煌々と明かりが灯ると、初めてそこで目に止まる店も多い。
また、何軒も飲んで酔いが回ってくると、よく考えずに店に入ることが出来る。
素面だと「今は焼き鳥の気分だな、いや、もう少し安めの店に行こうか」など色々と考えてしまう。
しかし、ハシゴ酒をしていると、後半には迷いのストッパーが外れて、今まで体験できなかった店を体験できるのがいい。
このグレートジャーマンクックもまた、酒が導いた新しい出会いに違いない。
店内はスーツ姿のサラリーマンとOLのグループが多い。
ちょっとおしゃれで2次会で流れて来そうな雰囲気だ。
会社を休んで、私服姿で1人でこの店で飲んでいると、自分が少し浮いた存在のように感じる。
もちろん、僕のことを気にかけている人間など、この中には一人もいない。
世界中のビールが飲めるらしく、壁面にビールの蛇口が数多くあるのが圧巻。
この光景は初めて見た。
これだけ蛇口があると、注文されたビールを間違えて注ぎそうな気もするが、そんなことはないのだろうか。
世界中のビールが飲めるというだけあって、メニューを見ると見たこともないようなビールの銘柄がずらり。
僕は日本のビールしか知らないので、一応メニューに目は通すものの、ほぼ分からない。
日本のビールも種類があるようだ。
各県のご当地ビールか何かだろうか。
ビールにちょいと詳しい上司なんかと来た日には、ビールの蘊蓄地獄になりそうだ。
しかし、上司が気持ちよく蘊蓄を披露し、気前よくビールをおごってくれるのならば、それもありだろう。
割り勘では下の者はついて来ない。
だから僕は誘わないし、常に一人酒なのだ。
天井を見上げると、シャンデリアというのだろうか。
照明がおしゃれではないか。
ディズニーランドの一角にありそうな、古き良き外国の雰囲気だ。
店先の雰囲気から、こんな感じになっていたとは、想像もつかなかった。
しばらくして、木樽の生ビール(750円)が運ばれてくる。
このビールは、日本ではこの店でしか飲めないらしい。
「木樽の」という響きが何とも良いではないか。
750円にしては少々少ない気もするが、この丸っこいジョッキがかわいらしい。
山で飲むきこりのビールという感じがする。
ひと口飲むと、苦み少なくマイルドな味わい。
木樽というくらいだから、ほんのり木の香りでもするのかと思っていたら、そうでもなかった。
日本酒の樽酒をイメージしていた。
つまみにチュウリンガー(820円)を注文。
ビールといったらソーセージだ。熱々の鉄板ので出てくるのもいい。
チュウリンガーとはドイツのソーセージらしい。
ザワークラウト(キャベツの酢漬け)が付いてくるのがなんとも本格的ではないか。
ナイフを立てると、皮がプツンと破れて、肉汁が飛び出してくる。
ハーブの香りがほんのりとして、ガツンと来る肉の食感。
これをビールで流しこむのがたまらない。
居酒屋で生ビールに唐揚げも良いけど、本格的にビールを楽しんでいる、という実感が沸いてくる。
雰囲気を変えて、こういう風に飲むのもまたいい。
何軒か飲んで来ても、雰囲気が変わると酒もまた違った旨さになる。
これだから飲み歩きはやめられない。
河岸を変える、とはよく言ったものだと思う。
これは酒飲みにしか分からないだろう。
周りをよく見ると、けっこう若いお客が多いようだ。
川崎には安い居酒屋が数多くあるけど、若い人は多少値が張っても雰囲気あるところに来るのか。
男女のグループが多いようで、たしかに女性の手前、酒を飲むにしても安居酒屋というわけにはいかないか。
などと邪推をしながら一人ビールをあおる。
自分のことを思い返すと、たしかに20代そこそこで新卒2年目くらいまでは、アジアンキッチンとかおしゃれな雰囲気の店で飲んでいたように思う。
安居酒屋でくだを巻く。
そんな未来が来るなんて、20代の頃は想像もつかなかった。
若者が飲んでいるのを見ると、自分の姿を重ねて、その当時のことを思い出す。
こういう一人酒の楽しみ方もまた、歳を重ねることの酒の楽しみなのかもしれない。
歳を取ることも悪くない。
ここでは1杯飲んでごちそうさまでした。
会計は1,830円。
2020年10月訪問
グレートジャーマンクック 川崎店
神奈川県川崎市川崎区東田町5-1 市労連ビル 1F
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140501/14052057/
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