川崎で午前中から4軒ばかりはしご酒をして、次の店を探しながら川崎の夜の街をさまよう。
雨がひたひたと降る足元は、街灯の明かりで艶やかに光っている。
しっとりと潤い光るコンクリートの道に、川崎の夜の街の艶めかしさを感じる。
酔った状態で傘をさして歩くのがしんどくなってきた。
とりあえずどこか店に入って傘をたたもう。
そう思いながら歩いていると、新しく出来た時から気になっていた「大阪焼肉・ホルモン ふたご」の赤提灯が光っている。
最近都内でも、大阪焼肉の店ということで見かけることが多く、一度入ってみたかった。
ということで、迷わず入店。
平日の17時台であったせいか、まだ客足はまばらのようで、数組の先客がいるのみ。
一人だったが、入り口付近の広めのテーブル席に案内される。
さてさて、まずはメニューを拝見。
写真付きのメニューが何とも食欲をそそる。
ホルモンが名物なだけあって、種類も豊富だ。
名前を見ただけでは、どこの部位か分からないものも多い。
ホルモンが好きな割に、毎回どこのホルモン専門店に行っても、部位の名前が覚えられない。
それはいいとして、大阪焼肉というのは、どこの部分が大阪焼肉なのだろうか。
それがメニューからは読み取れない。
味付けなのだろうか。考えてみても食べてみないと分からないか。
酒は日本酒、焼酎、ワインからビールなどの炭酸系まで一通りそろっている。
ホルモンを食べる時は、炭酸系しか飲まないから、特に酒のメニューを意識したことないな。
ビール、ハイボール、ホッピーがあればそれでいい。
ということで、ホッピー白(480円)を注文。
中身(焼酎)の量はちょうどよく、飲んだ後にも美味い。
黒いエプロンを付けて、注文したホルモンが来るのを待つ。
店内はJPOPが流れる若い雰囲気で、店員さんも若い方ばかりだ。
BGMはともかく、若い店員さんは動画の撮影などに寛容で、ノリがいいので好き。
気難しい親父がやってる、渋い個人店も好きだけど、酒飲みYouTuberとしてはこういう店が気が楽なのだ。
脂が跳ねるのでスマホケースも提供してくれる気配りもいい。
注文していたふたご盛り(1,480円)を女性店員さんが持ってきてくれる。
この店は、店員さんがすべて焼いてくれるようで、すぐに熱したコンロの上で焼きが始まる。
そっか、大阪はお好み焼きも焼いてくれるから、焼いてくれるっていう所が大阪焼肉なのか。
恐らく違うだろうけど、自分の中ではなんとなくそれで腑に落ちた。
まあ、違うんだろう。
左からマルチョウ(牛の小腸)、幻のハラミ(豚のハラミ)、やめられないミノ(豚の胃袋)、止まらないあご肉(豚のあご肉)、写真には写っていないが、角切り牛心(牛の心臓)を焼いてもらう。
店員さんは、ひとつひとつ部位の説明をしてくれる。
バイトなんでちょっと分かりません、なんて言わず大したもんだ。
僕は仕事をしている以上「新人なんで」とか「門外(専門外)なんで」と普通に口に出すのが嫌いだ。
分からないことは構わないけど、分からない言い訳に、自分の属性を重ねて言い訳するのはいかがなものかと思ってしまう。
分からないなら、後で調べますとか、すいません調べてきます!で良いと思う。
まあ、こんなことを酒場で話したら老害と嫌がられそうだ。
なので、絶対に口には出さないが、そう思っている。
焼ける間は手を出してはいけないので、ホッピーの中お替わり(200円)をして、飲みながら待つ。
トングでひっくり返してみたい衝動に駆られるけど、じりじりと我慢をする。
餌を前にして、待て!と言われている犬のような気分になってくる。
待っている間に、酒ばかりがすすむので、つまみに半殺しキムチ(480円)を注文。
なかなかに殺気立ったメニューだが、これがかなり辛かった。
普通のキムチよりも辛く、じんわりと身体の中が熱くなってくるような辛さ。
白菜キムチというよりは、激辛高菜炒めといった感じだ。
豚骨ラーメンに入れても美味しいかもしれない。
食べると額には汗が浮かび、辛さにホッピーがさらにすすむ。
このキムチは刺激があっていい。
しばらくすると、店員さんが焼き加減を見に来てくれて、焼きあがったところから皿に移してくれる。
まずはポン酢だれで、牛心をいただく。
コリコリとした食感に、さっぱりとしたポン酢だれが合う。
これは美味い。
ホルモンといえば甘辛いたれが多いけど、こういうさっぱり系もホルモンの旨味が引き立つ。
たれはポン酢以外のスタンダードなオリジナルのたれと2種類ある。
店員さんがお皿に入れてくれたものを、たれに付けてどんどん口に入れてゆく。
なんだろう。今度はまるで餌付けされている小鳥のような気分だ。
40代中盤を過ぎて、20代であろう若い娘さんにホルモンを焼いてもらい、口に運ぶ。
なんだか自分が赤子に戻っていくような不思議な感覚になってくる。
女性には母性があるように、男性にも何歳になっても母性に甘える本能があるのかもしれない。
ホルモンの美味しさもさることながら、普段経験できない感覚に、自分が今どこにいるのか分からなくなってしまいそうだ。
ホッピーの中をもう1杯お替りしてクールダウン。
餌付けされて感覚がおかしくなりそうだったが、なんとか自我を保つ。
目の前のコンロがいい味をだしている。
七輪も良いが、焼肉はコンロだ。
ホルモンの盛り合わせの良い所は、脂身の多い部分と、少し硬くてシコシコとした食感の部分と、食感を広く楽しめるところだ。
ゆっくりと噛み締めるほどに、肉汁と脂の甘みが口の中に広がる。
そこにホッピーを流し込む。
この快感は、焼肉で肉を食べるのとはまた違った感覚だ。
盛り合わせを完食し、ホッピーを飲み干してごちそうさまでした。
けっこう頻繁に店員さんが焼き加減を見てくれたけど、これで満席だったら忙しそうだな。
会計の声をかけると、最後に口臭消しのヨーグルトドリンクを持ってきてくれる。
こういうちょっとしたサービスが特別感あっていい。
最後に口直しにガムとか飴をくれる店って、子供のころから好きだった。
会計は3,280円。
はしご酒の後半に来たけど、ホルモンが旨いし、サービスも良いのでまた来たい。
あれだけ親切に焼いてくれて世話をしてもらえると、酔いも手伝って勘違いするおっさんも出てくるのではないだろうか。
そんなことを考えながら店を出る。
川崎の街はまだ雨で濡れていた。
さあ、もう1軒。
2020年10月訪問
大阪焼肉・ホルモン ふたご 川崎店
神奈川県川崎市川崎区砂子2-11-21 深澤ビル 1F
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140501/14051613/
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