武蔵小杉駅の駅前に足を付けると、前後左右を背の高いビルで囲まれる。
仁王像に囲まれて見下ろされているような、そんな気分にさせられる。
この街のこの姿が果たして正解なのか、僕は武蔵小杉に来ると毎回考えてしまうのだ。
まあ、住んでもいないのに余計なお世話であることは分かっている。
3軒ほどはしご酒をして、ふらふらと駅前を歩いていると「中華大三元」という中華料理屋を見つけた。
相当古い店なのではないかと思う。
駅前は新開発されているのに、避けられるように残っているこの店。
この駅を何年に渡って見てきたのだろうか。
店頭のおしながきを見ると、その年月の長さが垣間見れる。
値段はよく目を凝らさないと見えないほどに薄くなっている。
メニューははっきりと見えるのに、値段だけは薄い。これ意図的?
どんな店なのか想像つかないが、それがまたいい。
ちょうど、〆の何かを食べたいと思っていたので入ってみるか。
味のあるカウンター席に腰を据えて、メニューを手に取る。
さすがに店内のメニューは明確に値段が見える。
店内の作り、壁やカウンターに昭和を感じる。
階段の造りがおばあちゃんの家で見たのとそっくりだ。
しかも、この時代にラーメン500円!
値段も昭和並みだ。
壁には酒のメニューが貼ってあり、これもまたいい感じだ。
生ビール小(210円)を注文。
けっこう飲んで来たが、せっかくだから軽く飲もう。
箸の入れ物から、何から何までレトロな感じで、店内を見回しているだけでも酒がすすむ。
ビールを楽しむ間もなく、すぐに醤油ラーメン(500円)がくる。
出てくるのがかなり早い。
もやし、メンマ、チャーシュー、ねぎ、見た目が完璧な町中華のラーメン。
スープをすすると優しい醤油味の昔ながらの醤油ラーメンの味。
麺は硬くもなく、柔らかくもない。
味が薄そうに見えたが、そんなことはなく、しっかりとした出汁の効いた味だ。
昔ながらの醬油ラーメンと言ってもピンと来ない人もいるかと思うが、最近人気の素材にこだわった味未満、
社員食堂とか役所のラーメン以上だ。
こういうのが毎日食べても飽きない味なのだ。
これは理想的な〆のラーメン。
昔、実家で出前でラーメンを取ると、こういうラーメンにラップがかかってきたんだ。
あのラップを取った時の、ふわっと香るスープの香りがワクワクしたのを思い出す。
半チャーハン、餃子のセットもあるようで、腹具合が良ければ食べたかったな。
だが、今日のところはラーメンだけで満足だ。
会計は710円
きれいで住みやすい街もいいけど、こういう店はなくしちゃいかんよ。
そう思った。
2019年9月訪問
大三元
神奈川県川崎市中原区新丸子町923
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140504/14016379/
<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/tl34vfAbDRc