高津駅を降りてすぐ、東急ストアが見える横断歩道を渡り、斜め左に入ると「ほおずき」と書いてある、大きく白いちょうちんが目を引く。
ここを通るたびにずっと気になっていて、店の前まで行っては中を覗いて入ろうか入るまいか、ずっと迷っていた。
まだ自分には早いのではないだろうか、そんなことを考えて躊躇していた。
というのは僕が30代までの話で、40代になった今、僕は一直線にこの店へ向かう。
ずっとずっと気になっていた居酒屋で、食べログで何度も何度も内観の写真を見ていた。
余談だが、僕は食べログで料理の写真を見るより、内観とメニューの写真が一番よく見る。
肴と雰囲気、そこが重要なのだ。
![白い大きなちょうちんが目を引く](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき01.jpg)
店の前の看板には「四季の味 ほおずき」とある。
この四季の味というのが良いではないか。
暖簾はほどよく年季が入っており、店の佇まいにも古き良き居酒屋のそれを感じる。
居酒屋なのか、小料理屋といった風情もある。
なんでもいい、今日はこの店に入ると決めて高津駅で降りたのだ。
中はよく見えないので、意を決して暖簾をくぐる。
![味のある店先](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき02.jpg)
店内に入ると、カウンターと小上がりの席がいくつかある。
先客のグループが1組おり、いい感じででき上がっているようだ。
カウンターの上部にある黒板には、手書きでメニューが書いてある。
その日の魚の天ぷらや刺身などはここに書かれているようだ。
年配の女性の店員さん、厨房にはご主人がひとり立っている。
![カウンター上の手書きメニュー](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき03.jpg)
手元のメニューで酒を確認。
そんなに種類があるわけではないが、逆にそれがいい。
若者がくるような店は、凝ったサワーやカクテルなどがたくさん並んでいるが、ここにはそれは必要ない。
![酒のメニュー](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき06.jpg)
地酒と本格焼酎のメニューも無難に揃っている。
地酒はまあ、よく見る銘柄。
![地酒のメニューもある](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき07.jpg)
つまみメニューは、揚げ物、一品料理、焼き物とけっこう幅広い。
がっつり若者の居酒屋メニューでなく、しっぽりと飲むのにふさわしい食材が目立つ。
これは期待しかない。
![おつまみメニュー](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき05.jpg)
まずは瓶ビール(630円)で舌を湿らす。
この小さなグラスがいいではないか。
瓶ビールを飲む時のグラスのサイズは、大きなものでなく、飲み干せるぐらいのサイズがちょうどいい。
![まずは瓶ビール](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき08.jpg)
まずはグラスにビールを注ぎ、今日の自分を労う。
雰囲気も相まってビールが旨い。
目の前のケースには食材が置かれている。
こういう居酒屋って最近あまり見かけなくなった気がする。
![今日の魚が目の前に](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき04.jpg)
ビールを口にはこんでいると、お通し(350円)を出してくれる。
いくらのおろし添え、ポテトサラダ、いかの煮物の3品。
この3品付いてくるっていうのが非常にうれしい。
これだけでビール1本いけるではないか。
![お通し](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき09.jpg)
いくらはこの少しってのがいい。おろしを混ぜて少しずつ口に運んでビールを流す。
ポテトサラダは、じゃがいもがごろごろしている手作り感のある感じがいい。
あっさりとした味付けで家庭的な味だ。
一番気に入ったのが、いかの煮物。これがいい味出している。
しっかりした味付けに、煮込んで冷やしてちゃんと味を沁み込ませた感じが最高だ。
これなら最初から日本酒でもいいくらい。
このお通しで、完全にこの店が当たりだと確信した。
お通しを堪能しながらビールを飲んでいると、スーッスーッとまな板で切る音が聞こえてくる。
これは僕が頼んだあれだ。あれを切っている音。
![お通しだけで瓶ビール1本いけそうだ](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき10.jpg)
しばらくして、するめいか刺し(780円)が出来上がる。
まな板でいかを切る音がしていたので、余計に旨そうに見える。
切れているのではなく、切ってくれるってのがいいじゃないか。
早速、わさび醤油を付けて一切れいただく。
ねっとりと歯茎に絡みつくような食感と、いかの旨味が口いっぱいに広がる。
これは美味い。
![するめいか刺し](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき11.jpg)
気になった、納豆いそべ揚げ(480円)も注文。
一体どんなものかと思ったら、納豆を海苔で包んで揚げたもののようだ。
たれにくぐらせて食べると、サクッとした食感に納豆の香りと大豆の食感。
軽くて食べやすい。
納豆を揚げる難易度は分からないが、こういうの家でも作って欲しい。
いや、簡単そうに見えて、こういうのが難しいのかもしれない。
![納豆いそべ揚げ](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき12.jpg)
つまみが出そろったので、日本酒熱燗(380円)だ。
地酒にしようか迷ったが、肴が良いので銘柄を気にせず熱燗にした。
酒を頼むと、お猪口をざるの中から選ばせてくれる。
ちょっとしたことだけど、こういうのがうれしい。
いか刺しを食べて、追いかけるように熱燗を飲む。
たまらない。
![日本酒熱燗](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき13.jpg)
家では地酒を冷やで飲むことが多いが、居酒屋では熱燗、銘柄指定なしで飲むことが多い。
値段のこともあるが、居酒屋はつまみが美味いので、酒は酒であればいい、という気分になる。
どちらかというと、職人さんが作った美味いつまみと雰囲気を味わいたい。
![これぞ日本の居酒屋だ](https://1nomi.com/wp-content/uploads/2023/04/ほおずき14.jpg)
のんびりと飲んでいると、グループ客が1組に、年配の女性客が1人入ってきた。
女性客は身なりがきちんとしていて、姿勢よく白ワインを飲んでらっしゃる。
この女性を見た時、格好良いなと思った。
僕は仕事柄、スーツではなく私服の事が多く、ファッションに興味があまりないので、けっこう適当な服を着ている。身なりが良いとは決して言えない。
酒場に行くにしても身なりを整えて、シャンとした姿勢で飲む。
こういう飲み方ができるようになりたいなと思った。
日本酒熱燗を飲み干し、もう少し飲もうかと思ったが、はしごしたいのでごちそうさまでした。
会計は2,620円。
ただ酔うだけでなく、老舗の居酒屋には学びがある。
そんなことを考えながら店を出た。
この雰囲気の居酒屋は、溝の口、高津周辺でもそうはない。
貴重な存在だ。機会があったらまた来たい。
2020年10月訪問
ほおずき
神奈川県川崎市高津区二子5-1-2
https://tabelog.com/kanagawa/A1405/A140505/14026835/
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