川崎で2軒ばかり飲み歩いて、隣駅の蒲田駅にやって来た。
蒲田駅に降りたのは1度か2度、それも10年以上は確実に経っているので、正直なところどんな雰囲気なのか分からなかった。

ただ、飲める店は多いという話は聞いていたので、降りてみたいとは思っていた。
土地勘がまったくない駅なので、スマホである程度下調べをしつつ、電車に揺られてきた。

あまり降りない駅で降りて、出口を間違えるとあまり居酒屋がなかったりするので、注意が必要だ。
適当に降りて、行き当たりばったりで飲もうとして、店が開いてなくて失敗した試しは何度もある。

駅を降りてふらふらしていると、味のある看板。
信濃路、あの芥川作家の西村賢太先生が通っていたあの信濃路が。
鶯谷にあると聞いていたので、同名の店舗かと思って調べてみたら、蒲田店で同じ系列らしい。

これは入らないという選択肢はない。

信濃路蒲田店
信濃路蒲田店

店内に入ると、カウンターでそばをすする人、丼ものを食べている人、普通に飲んでいる人とまちまちだ。
全体的に年配の方が多く、昔から通っている人なんだろうな、という雰囲気。

常連だらけの店はアウェイ感を感じることもあるが、ここは一人飲みで来ている方が多いようで、
お互い干渉せずに黙々と飲み食いしている。黙食の見本店だ。

壁を見ると味のあるメニューがずらり。
定食から一品料理、和洋中なんでもありという感じだ。
メニューの多さに面食らっていると、「お兄さんは何を飲む?」と聞かれたので、少々動揺しつつ
「瓶ビール!」と口走る。

飲みたかったのか、というとそうでもないが、口が瓶ビール(550円)を頼んでいた。

メニュー
味のあるメニュー

まあ、瓶ビールは間違いない。
こういう大衆食堂では瓶ビールよ。

瓶ビール
瓶ビール

瓶ビールを飲みつつ、落ち着いてメニューを見回す。
すじこ、明太子、わさび漬けなど、ごはんのおかずっぽいものもあれば、ハムエッグやオムレツ
などの玉子料理、そば、うどん、カレーライス、なんでもある。

とりあえず、こういう食堂ではハムエッグ(300円)だ。

ハムエッグ
ハムエッグ

ほどなくしてハムエッグを受け取る。
この店ではお声がかかったら、自分でカウンターに取りに行く。

ハムエッグにオレンジが付いていて、昔ながらの洋食っぽい雰囲気。
こういうのうれしいなあ。

ハムエッグを食べる

ハムエッグって下にハムがあるものだと思っていたけど、この店では逆だ。
醤油をたらりと垂らしてひと口食べて分かったような気がした。
ハムが焦げないように配慮されているのではないか、と。
違うかもしれないが、僕はそう解釈した。

ハムエッグは家でも作れるが、店でつまみとして食べるハムエッグはなぜか家より美味い。
味ではなく、ハムエッグで飲むという雰囲気そのものが美味いようにも感じる。

ハムエッグを平らげ、せっかく来たので、もう一品くらいは頼みたい。
ということで肉野菜炒め(450円)をオーダー。

大衆食堂では定食のおかずをつまみに飲む。
あえて居酒屋のつまみに出てきそうなものは頼まない。

肉野菜炒め
肉野菜炒め

つまみが来たら瓶ビールも終わった。
一番安いチューハイ(350円)をオーダー。

チューハイ
チューハイ

肉野菜炒めは味付けが絶妙で美味し!
家でも作れそうな感じなのだが、同じ塩コショウでもなぜかお店の味の方が複雑な気がする。

肉野菜炒めにあっさりとしたチューハイが合う。
シンプルな料理には、香りなどの主張が少ない酒がいい。

後ろのカウンターには若いカップルが仲良く飲んでいて、お店の方に「いつも仲いいね」なんて
声を掛けられていて、微笑ましい雰囲気だった。

「次何頼みたい?」
「うーん、俺はねえ・・」
なんてつまみを選んでいる姿に自分を重ねて、羨ましさすら感じた。
いや、自分には自分の幸せがあるではないか。

想いをかき消すようにチューハイを飲み干し、肉野菜炒めを平らげ、ごちそうさまでした。
おかず2品と酒2杯で1,650円

こういう大衆食堂で飲むの大好き。

2022年1月訪問

信濃路 蒲田店
東京都大田区蒲田5丁目16-8
https://tabelog.com/tokyo/A1315/A131503/13053628/

<この記事の動画はこちら>
https://youtu.be/eUvd-7lQ9Yk